今日ご紹介するのはこの本。
ヨシタケシンスケ作『もうぬげない』
(ブロンズ新社 第9回MOE 絵本屋さん大賞第1位)
今ノリにノッているヨシタケシンスケさん。
超有名でどこの本屋さんでも平積みされているのでご存知の方も多いはず。
どの絵本も発想豊かでキュートでとても面白いのですが、まずは『もうぬげない』をご紹介!
おフロに入ろうとして引っかかったふくが全然脱げない!ずっとこのままだったらどうしよう…色々考えてみた結果、きっとこのままでもだいじょうぶ!やっていけるぞ!と思ったのも束の間、もっと悲惨な事態に…?!
服がひっかかってぽよよんとしたおなかが丸見えな姿があほかわいい。
1ページ目からあほです。呆然としてる感じ、ジタバタしている動きがあはあは笑えます。服を脱ごうともがいている姿や、これからどうやって生活していくか…え、そうなる?と1ページごとに楽しい。
でもそれだけじゃないんです。
ヨシタケシンスケさんの素晴らしいところは、お子様らしいユニークな視点から出発して、世の中や周りの人のことを考え思いやる優しさに帰結するところ。
こういう人がいるかもしれない、こういう人はどうだろう、あなたはこうよね、と想像力を膨らませて、お互いにうまくやっていこうとする。
他者理解の本なんですよね。
大人が読んでも見習いたいなと思ってしまうページがたくさんあります。
しかし決して説教くさくなく、あくまでも面白くてかわいい。
最後もしっかり落としてくれます。私はこのラストで本棚の殿堂入りを決定しました。
大人が読んで楽しい絵本って、大人が読んでもやっぱり学ぶところがあるんです。ヨシタケシンスケさんの本は楽しませる部分と考えさせる部分のバランスがすごくいいと思います。楽しいけど軽くない。かわいいけどそれだけじゃない。ぜひ味わってみてください。