口の奥の本棚

古に絵本の紹介をしていたブログ。今はたまーにてきとーに思ったこと書いてます。

名前

大学生になる前の春、書き出したやりたいことのひとつが「草花の名前を覚える」だった。

 

草花は好きだ。それに昆虫も好き。星も好き。最近のマイブームは貝とパワーストーンツイッターで「ビーチコーミング」と検索をかけては、打ち上がり拾われた貝を延々と見続けている。あるいはメルカリでパワーストーンブレスの業者を追っかけ見まくっている。そんなことをしていると必然貝や石の名前も覚えてくる。

 

去年だか、家族とトレッキングに行ったとき、「ここの山に生えているシダの種類と名前」の看板があった。十数種類書いてあったけど、流し見するだけで通り過ぎてしまった。シダはあまり詳しくないので見てもよくわからないし、生えてるのがどれだかもわからない。

でももし私が草花や昆虫や星や貝や鉱物と同じようにシダのことも知っていたら、きっと看板を熟読して、ああこれが生えている、これもどこかに生えてるのか、とちゃんとその存在を認識したはず。名前を知っていればそこにいるとわかるのに、知らないが為に、ないも同然になる。そんなの寂しい。

幼稚園のとき、配られたポケット図鑑を何度も何度も繰り返し読んでいた。おかげで今でも見ただけでわかる草花がたくさんある。小学校の理科で星について習ったから、金星やオリオン座の位置で季節を感じられる。畑で育てている野菜を教えてもらったから、好き嫌いがほとんどないし食べ物も残すことがない。

 

名前を覚えること。その存在がわかること。物言わぬ彼らを慈しむ心は、そこから始まる。

 


ちなみにこのあいだ海に行ったときなぜか蝶の死体を拾い、展翅して標本にしたのだけど、その蝶は前の夏に道端で偶然見かけてネットで調べ、覚えていた顔見知りさんだった。その名もアカボシゴマダラちゃん。こんな巡り合わせも、名前を調べていなかったら気づかなかったのだなあ。